ー弱さ、臆病さを持っている者の言葉として僕の曲を聴いてもらいたい
今回第2弾となるSetMeFree「気になるあのヒト」企画に登場していただくのは、ラッパー maco marets(マコ・マレッツ)さん。
プロデューサー RINAが「最高にチルい!」と大絶賛するラッパーで、ひとたび曲を聴けば、その新しいラップスタイルに虜になってしまうこと必須だ。
1995年福岡県出身で、現在24歳のmaco maretsさん。
ご自身の好きなことを追求してきた高校時代から現在に至るまで、そして何よりも「今」をエンジョイされている姿が眩しい。
今後の飛躍が期待されるmaco maretsさんにラッパーになった経緯、独自のラップスタイル、作品へのインスピレーション等々…ずっと気になっていたことを訊いてみた。
最初に確認させてください。
maco maretsさんはラッパーという位置付けの方で間違いないでしょうか?
ラッパー…と思われててほしいですね(笑)
初っ端からすみませんでした。というのも、ラッパーというと結構ゴリゴリ系のイメージが強いのに対して、maco maretsさんの曲は落ち着きがあってメロディもラップの典型的なイメージとは少し違っていますよね。
実を言うと、現在の僕のスタイルができたのも上京してきてからのことなんです。
ラップ自体は高校の時から友達と始めて、イメージはこんな感じでした(笑)ファッションもけっこうストリートな感じで。キャップかぶったりしてました。
例の写真のイメージ図
衝撃。全然イメージがなさすぎました。これ本当にmaco maretsさんですか?
そうなんです。今とは全然違いますよね。
性格的には全くゴリゴリ系ではなかったんですけど、最初に影響を受けたのはストリート寄りのスタイルでした。
では、どういう流れで現在のラップスタイルが生まれていったんですか?
元々は、高校時代に仲の良かったラッパー好きが5〜6人いて、その中の2、3人で曲を作るというところから僕の音楽活動が始まりました。
当時は、KREVA(クレバ)*さんとかがすごく流行ってた時期だったので、そのトラックにラップを乗せたりして遊んでいました。
*日本のヒップホップシーンを切り拓いてきたラッパー、シンガーソングライター、音楽プロデューサー。
それから大学生になったと同時に上京したんですけど、一緒にラップをしていた同級生が誰も上京しなくて。
先ほども少し言いましたが、性格は積極的なほうではなかったので「ソロ曲でそんなゴリゴリやれないわ」って東京に来てから気づきました(笑)
それで、より自分の性格にあったスタイルを追求するようになって、今に至ります。
インタビューに答えてくれるmaco maretsさん。終始和やかな雰囲気。
maco maretsさんの曲の歌詞ってすごく エモい..! と感じることが多いのですが、歌詞はどこからインスピレーションを受けますか?
考えてつくる曲ももちろんありますし、割とノリでつくる曲も多いです。
実際の出来事とかで感情的になっているときに曲をつくることもあります。
あとは、普段本が好きでよく読んでいるんですけど、たとえば読んでいるときに本の中のある一定の情景とか言葉の波動みたいなものをキャッチするときがあって。
そんなふとした瞬間に、僕もこんなことを曲に書きたいなって思うんですよね。
自身のインスタグラムでも、maco maretsさんお気に入りの本が度々登場する。
一応、ラップは韻を踏むというルールがあって、それに則って書くので、そういった意味では書きやすいです。
そのルールの中で、どんどんイメージが飛躍していって曲ができあがっていく流れですね。
1st アルバム ‘Orang.Pendek’(オラン・ペンデク)
音楽界はかなり細分化されて、上下関係が厳しい印象があるのですが、maco maretsさんは既存の分野どこにも属していなくてパイオニアな印象を受けます。
ちょっと中途半端な立ち位置なので、様々な種類のイベントに呼んでいただけますね。
ラッパーのイベントだったり、ギターの弾き語りだったり、バンド系のイベントに混ぜていただいたり。
ただ、どこにも自分がカチッとはまっている感覚はないかも知れません。
と言っても個人的には「自分が新しいことをしている」感覚はまったくなくて、もっと自分の表現を磨いていきたいと思っています。
MVもどこかメロウな雰囲気で惹きこまれるものがありますよね。
MVについては雰囲気やイメージは伝えるんですが、そのあとはディレクターさんやビデオグラファーの方たちにお任せしています。
僕以外の方のフィルターも通すことで、曲のイメージが広がる感じがするんです。
maco maretsさんのインスタグラムを拝見していて最近、頻繁にライブに出られている印象を受けます。
遠征のときは、自分ひとりで行くので、寂しくないと言えば嘘になりますが、これまで会えなかった人たちに会えるのですごく楽しいですね。
東京発ウェブマガジン「NEUT Magazine(ニュートマガジン)」とのコラボステッカー
この間、個人的にはお話ししましたが、私の海外の友人もmaco maretsさんのファンということが判明し二人で盛り上がりました。最近はmaco maretsさんの曲を聴いている海外の方も結構増えてきているんじゃないですか?
そうなんですよ。実は、海外の方も結構聴いてくれているみたいで。
maco maretsさんの曲は歌詞もメロディも個性的でステキなので、きっとこれからもっと聴く人の輪が広がっていくだろうなと思うのですが、周りを巻き込みながら自分の好きなことを追求し続けることのできる秘訣は何ですか?
なによりもまず「自分がイケてるかどうか」問い続けることかなと思います。
イケてるって言葉も別に好きじゃないですけれど……。
実を言うと、僕は周りに対する興味というのがそれほど強くはないというか、「人と繋がりたい」みたいに思うことは少なくて。
「人脈が大事」みたいな考えは否定しませんが、結局素敵な出会いがあったとしても、そのときに相手を惹きつけるような「イケてる自分」でいないと、そのあとに続くことはないですよね。
他人を見る前に、まずは自分と徹底的に向き合って、その結果を人に認められるかたちでアウトプットすることが必要なのかなという気がします。
出会いや「人とのつながり」は、そうしているうちに自然に生まれてくるはず。
オリジナルのバッジ。maco maretsさんの公式オンラインショップではCDはもちろんのこと、他にもステッカーやバッグなども発売
周りの意見が気になるときはありませんか?
他人の意見はそんなに気にしないです。
自分の曲を聴く人が増えれば、おのずと、ネガティブなことを言われることも増えてくるでしょうし。
音楽の現場でそれは一番感じるので、「認めさせてやるぞ」って気合は持っていますね。
元々人前に立つのはあまり得意ではないので、ライブ前はいつもテスト前みたいにお腹が痛くなったりします(笑)
maco maretsさんは顔出しをあまりされなかったり、曲の歌詞も結構オブラートに包まれることが多いですよね。
そうですね。生身の自分を見てほしいとはあまり思わないし、歌詞も何かを直接的には言うことは少ないです。
直接的な言葉をうまく使えない。
ある意味、弱さ、臆病さを持っている者の言葉として僕の曲を聞いてもらえたらいいかなって。
そこに共感して聴いてくれる人たちがいれば嬉しいですね。
2nd アルバム 'KINŌ'
現在、ラッパーとして活動中のmaco maretsさん。ラップを始めたばかりの高校時代は周りに合わせることが当たり前だった。
そんな苦悩の中で生まれていった独自のスタイル、そしてどんな時でもそっと寄り添ってくれる言葉たち。
そのメロディと言葉選びには、maco maretsさんの確かなセンスが感じられる。
そして、今回のインタビューで最も印象に残った「他人を見る前に、まずは自分と向き合う時間を」という maco marets さんらしい言葉。
そんな maco marets さんから生まれる音楽には、あなたもきっと心にグッとくるものがあるはず。
今後もmaco maretsさんのご活躍から、ますます目が離せない。
ライブなどの情報はInstagramをチェック ✔️
Interviewed and illustration by RINA/ Photos and edited by NOZOMI
#SetMeFree
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