マインドフルネスの父、ティク・ ナット・ハンから学ぶ「食べ方」の極意。


こんにちは。NOZOMIです。 


一日の中で、少なくとも三度やってくる食事の時間。


この時間の中で、皆さんは「いかに食べるか」について考えたことがありますか?


食べ物の命、食べ物を育てた人、作ってくれた人に感謝して食事をいただく。日本人であれば誰しも、食事の前には「いただきます」、食事後には「ごちそうさま」を言いますよね。これは本当に素晴らしい習慣だと思います。


ところが、正直、食べものをいただく、食べるということ自体は考えても、「どのように」それを食べるかについて、深く考えたことがある人は少ないのではないのでしょうか。



「食べ方」の極意を説く、小さな本。


「食べる」という行為は、動物にとって最も本質的な生命維持活動。そして、間食も合わせば、一日に幾度なく訪れる機会です。逐一、目の前の食べ物に対して「これをどうやって食べようか」なんて考えていられないのが本当のところ。


私自身も「いかに食べるか」なんて考えたこともありませんでした。しかし、今回ご紹介する本に出会ってからは、これまで以上に「食べる」という行為の尊さを身にしみて感じるようになったのです。


こちらがその例の本。




著者はティク・ナット・ハン(Thic Nhat Hanh)。ベトナム出身の禅僧であり、アメリカやフランスなどで仏教やマインドフルネス*の普及活動を行っている人物です。


*「今この瞬間に自分の意識を100%そそぐ」という意味(英単語 'mindfulness' より)。集中力や創造性の向上、ストレス軽減、健康問題の改善などが期待される。

 


その影響力は、本の表紙で、アイリッシュ・タイムズが「マインドフルネスの父」と評価しているほど。


シンプルでありながらも、ぐっと心に迫ってくるような本のタイトルですが、あえて訳すると『食べ方』『いかに食べるか』といったあたりになるでしょうか。


いずれにせよ、一度読めばきっとこの本が、「食べ方」の極意について説いていることが分かるはず。


そして何よりこちらの本、とても読みやすいのです。


サーチしたところ、彼の本はかなり邦訳が出ているようなのですが、どうやらこちらの本の邦訳はまだのよう。


ということで、本自体は全て英語で書かれているのですが、分かりやすい単語と表現が使ってあるので、たとえ英語の文章が苦手でも、読めてしまう。


また手のひらサイズで、ページ数も130ページに満たない小さな本である上、大体1ページにつき一つのテーマで構成されているので、詩集だと思って気軽に読んでみるのもおすすめ。





今日から実践できるティク・ナット・ハンの言葉4選。


という訳で、本の中からすぐに実践できるティク・ナット・ハンの言葉を4つに厳選してご紹介。


  • 「食べることはアートだ」"Eating Is An Art" より

健康的に食べることはアートだ。しゃれた料理は全く不要だが、そこには練習と集中力が要る。あなたの体はあなたの所有物ではない。それは贈り物であり、責任だ。これからも体の健康を維持させるにはまず、食べ方を学ばなければならない


  • 「ゼロからゼロはうまれない」"Nothing Comes From Nothing" より

パンは麦畑、農家たちの労働、パン職人、卸売業者、そして販売者の手を渡って今あなたの目の前にある。しかし、パンそのものにはそれ以上の意味があるのだ。パン一切れの中には太陽が、雲が、収穫の喜びが、パン職人の技が宿っている。そして ー奇跡的に!ー パンができあがったのだ。あなたにそのパンを届けるために、宇宙全体が力を合わせたのだ。その事実には、ほんの1秒や2秒で気付くことができるのだ。




  • 「自分の心配事より、食べものを嚙もう」"Chew Your Food, Not Your Worries" より

誰しも、食べてはいるが、肝心の食べものについては考えていないということが時々ある。代わりに、過去や将来のこと、心配事をとりとめもなく考えているのだ。そんな時は、ビジネスやオフィス、今この瞬間に起こっていないこと以外は考えないようにしよう。心配事を噛んではいけない。恐れや怒りの感情も同じだ。ただ食べものを嚙もう。


  • 「食べることの喜び」"The Joy of Eating" より

私は食べものを口に入れる前に、しばらくそれを見つめる時間を取っている。そうすることで、リンゴであろうとラディッシュであろうと、それが確かにそこに存在していることを確かめる。そして食べものに微笑みかけ、意識を完全に集中させてそれを噛む。結果、身体的に栄養が育まれるだけではなく、精神的にも育まれ、心が豊かになるのを感じるのだ。




彼が提唱する「食べ方」の極意。

これが非常にシンプルなもので、すぐに実践できるものだということがお分りいただけたでしょうか。


マインドフルネスの父と呼ばれる、ティク・ナット・ハンの教えがぎゅっと凝縮されたこちらの本。興味のある方は、まずは一度実践してみることをおすすめします。


一番簡単にできる方法は、


  1. まず食べもの口に入れる前に数秒間だけ「見つめる」
  2. その食べものに意識を100%注いで、自分の目の前までやってきた過程を想像する
  3. 口に入れて、噛むことだけに意識をする。


これだけです。


特に、忙しい時期や、心配ごとが多い時期にあえて実践してみると、このシンプルな過程によって得られる効能を最も実感できるかも。


抜粋して紹介した上の4つのテーマは主に「食事中」についてのものでしたが、本の中には他にも「料理中」「テーブルセッティング」「皿洗い中」など他のテーマについても書かれてあり、きっと新しい発見があるはず。


私はこちらの本を、ネパール・カトマンズの小さな本屋さんでたまたま見つけたのですが、今ではそれが運命的な出会いだったと思えるほど、手放したくない愛読書の一つになりました。


今回ご紹介した "HOW TO EAT" の他にも、"HOW TO WALK"、"HOW TO RELAX"、"HOW TO SIT"、"HOW TO LOVE"、"HOW TO FIGHT" という面白そうなタイトルのも出版されているようなので、こちらも気になるところ。


"HOW TO EAT" を含めたこれらの本は、ペーパーバックもしくは Kindle版がAmazonで販売されているみたいです。一度手にとって読んでみたい方は下のリンクから、直接 Amazonのサイトに飛べます。



Edited and photos by NOZOMI

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